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2007年07月 アーカイブ

2007年07月13日

ニオイの好き嫌い

敏感な感覚


 私たちは、外界を認識するのに、嗅覚、視覚、聴覚、触覚、味覚の五感を活用しています。その中でも嗅覚は、普通はそこまで意識はしない感覚です。ですが、ときには他の感覚以上に気分や行動に影響を及ぼしていることがあります。

 ある言葉に「ニオイは記憶を閉じ込めている」というものがあります。これも、ニオイが感情と密接に関わっている例といえるでしょう。

 生活の中で慣れ親しんだニオイでも、それから離れると、そのニオイのみを思い出すということはないといえます。どれだけインパクトの強いニオイでも、人の顔や声、音楽、風景など、鮮明に思い浮かべることはできません。

 しかし、ふとしたひょうしに同様のニオイに接すると、そのニオイのみならず、これまで忘れていたニオイをかいだ時や気分まで、即座によみがえってくる事もあります。

ニオイの好みは人それぞれ


 そしてまた、ニオイほど、好き嫌いが決定的に別れる感覚はないといえます。排泄物や生ゴミなどの悪臭を除けば、ニオイの好き嫌いというものは個人的なものになります。

 「嫌なニオイだなぁ」と感じて友達に同意を求めても、その人は「いいニオイじゃないか」と言ってくることもしばしばです。大方の日本人にとって食欲を誘う焼き魚のニオイも、欧米人にとっては悪臭と感じるらしく、「日本人は魚臭い」と言う人もいるとか。

 大抵のニオイに対しては、好き嫌いの区別は瞬時に下されます。そしてこの、好き嫌いに対応する反応は、他の感覚と比較しても格段に厳しく、理性で抑えることができないものです。

 これほどまでに、好悪の激しい反応をニオイほど多種類にわたって引き起こすことはないといえます。

ニオイで合う・合わないが‥‥

仲間外れになることも


 ニオイというものは、人と人とのコミュニケーションで大切な役割を果たしています。

 野生の動物、例えばタヌキやキツネが人家に迷い込んで飼われてしまうと、後に自然に帰そうとしても、うまくいかないものです。なぜなら、その動物に人間の生活のニオイがしみ込んでしまっているからです。

 体臭が異なることで、野生の動物の仲間に入れてもらえないということが起きてしまうのです。本来なら敵であるはずの人間のニオイが、野生動物にとっては不快なニオイと捉えられてしまいます。

 人間の嗅覚は動物と比較しても退化していますし、言語をはじめ、文化的に習得した色んなコミュニケーションの手段があるので、鼻のみでニオイをかぎわけることはしません。それでいながら、「何かあの人とは体臭が合わない」という言い回しが残っていたりします。

理屈ではなく


 また、ワキガの臭いが強すぎることで、学校などで孤立してしまうというケースも意外と多くあるものです。学校でのいじめの原因が、「臭うから」という場合は少なくありません。

 大人、社会人になってしまえば、他人を傷つけるような言動や行動をとってはいけないという社会常識が身についてくるので、子どもの頃のような露骨ないじめは少ないといえます。

 ですが、ワキガのせいで会社の人間関係がうまくいかなかったり、恋人との仲がギクシャクしたり、お見合いがうまくいかないなどというケースはあるものです。

 大抵の日本人にとって、ワキガをはじめとする強い体臭は不快な悪臭といっていいでしょう。外見や性格をうんぬんする以前に、はじめに生理的な拒否反応が出てしまうらしいのです。理屈ではないということでしょう。

快いニオイは人を結ぶ

ニオイが安心を引き出す


 ニオイというものは悪いニオイばかりではなく、また悪い影響を与えるばかりではありません。快いニオイは人と人を結びつける役割も果たします。

 生まれたての赤ちゃんが、初めて嗅ぐのは、母親のニオイです。まだ視覚が開けていない赤ちゃんは、嗅覚、すなわちニオイだけをたよりにしておっぱいを探り当てます。

 子どものころに、怪我をしたり、怖い思いをしたり、友達と喧嘩したりした時に、お母さんの胸に顔を埋めて泣きじゃくっていると、痛みや怖さが薄らいだ経験があるかと思います。

母親のニオイというのは、最も安心できる場所のニオイとして記憶され、大人になっても忘れることはないものです。

異性を魅きつけることも


 また、ニオイが男女をひきつける大切な役割を果たしていることもあるものです。香水やオーデコロンをつけるのは、自分自身が香りを楽しむためでもあるのでしょうが、やはり異性を惹きつける、または関心をひくことです。

 悪臭の代表のように言われているワキガのニオイも、絶対に悪いというものでもなく、それが軽度なものならば、ひとつのセックス・アピールにもなるものなのです。

 その人の放つ体臭が、たまらないほどいいニオイに感じられて、思わず魅きつけられて
しまうということは少なからずあるものです。

 ですから、恋人をつくりたいと努力している人は、化粧や洋服など外見ももちろんですが、異性を魅きつけるニオイも身につけるように努力したほうがいいでしょう。

ニオイを感じる仕組み

ニオイとは微小の物質


 人がニオイを感じる嗅覚のメカニズムとはどのようなものなのでしょうか。

 ニオイはある種の微小な物質で、空気中に漂っており、呼吸をするときに、人の鼻の穴に吸い込まれていきます。この物質をとらえるのが、鼻腔の最も奥のほうにある、嗅上皮(嗅粘膜)と呼ばれる器官です。

 それを広げてみると、人間で4~5c㎡になるこの器官には、約1億個の嗅細胞と呼ばれるものがあり、ニオイ物質を受け取ることで、これを電気信号に変換して、脳中枢のニオイを担当しているところに送ります。

 脳には過去の経験が記録されており、信号が到達すると、これは良いニオイ、これは悪臭などと識別して、良いニオイなら深く吸い込み、悪いものなら息を止めるといった、身体の反応を決めているのです。

本能的な反応


 人間は進化の途中で、自ら所有している感覚の中でも特に視覚を発達させて、感覚の主体をそちらに切り換えてきました。そのために、ニオイの情報をフル活用している動物と比較して、嗅覚は格段に衰えてはいるものの、本能的な行動はいまだにニオイに左右されているのです。

 誰でもニオイに対する好き嫌いの区別が決定的で、とくに嫌いなニオイに対してただちに拒否反応を起こしてしまうのも、このことから説明ができます。咄嗟の動作で、動物的本能とでもいうような感じで反応しているわけです。

 あと、ニオイによって過去の記憶が呼び起こされるのも、こういった判断を瞬間的に下しているために、ニオイと結びついた経験が、記憶として脳のこの部分に蓄えられているためと考えられます。

食欲を刺激するニオイも

食欲とニオイの関係


 ニオイと本能との関わりで忘れるわけにはいかないのが、人間の一番根本的な欲求である食欲と性欲が嗅覚と密接に結びついていることです。

 食欲とニオイの関係は、言うまでも無く非常に密接なものです。耐え難い空腹時なでに、食欲をそそるようなおいしいニオイを嗅いだだけで、たちまちお腹が鳴ってしまうような経験は誰でも少なからずあるものです。

 ただ、飽食の時代で生活している私たちは、食物が食べられるか、腐敗しているかなどを嗅ぎわけるという嗅覚本来の役目を忘却して、その食べ物がおいしそうなのかどうか、といった質をはかるのに、もっぱら嗅覚を使用している傾向があるようです。

 また、後天的な学習のよって、発酵させたチーズや納豆、ぬかづけなどの腐敗臭が漂う食物のニオイに食欲を感じることもあるわけですから、いちがいに腐敗臭は不快なものだとは決めつけるわけにもいきません。人間の食欲と嗅覚の関わりは、動物よりも複雑なものだと言えるでしょう。

味覚と嗅覚の関係


 味覚と嗅覚の関係もなかなか面白いものがあります。食べ物がおいしいかまずいかは味覚で判断しているものですが、それは嗅覚も影響を及ぼしているのです。

 好みにあった香草や香料が料理にうまく使用されていると、たちのぼる香りで食欲を刺激されるのみならず、実際に食べてからも、料理の味に深みが増して、より一層おいしく感じられます。

 逆に、風邪などで鼻が詰まっている際には、食べ物の味が分からなくなることはよくあるものです

また、その食べ物のニオイに対する好みが不一致であることも多いものです。味はいいけれど、ニオイがよくないなどという場合がそれです。いずれにしろ、ニオイと食欲との関係は複雑なものなのでしょう。

ニオイで異性を誘う動物

生殖行動を促す


 犬や猫などの動物は、発情期にはさかりのついた雌犬や雌猫が外を通ると、雄が身もだえをして切なげな鳴き声をあげるので、すぐにそうだと分かるものです。

 または犬を散歩に連れ出したときに、雌の残した尿のニオイを熱心にかいで、なかなかその場を動こうとしないこともよくあるものです。これは、雌の尿に発情期がきたことを雄に知らせて生殖行動を促すという、ある種の物質が分泌されているためです。

 このように、ある程度遠くまでニオイを放って、異性に性的反応をとらせる分泌物を性フェロモン(性誘導物質)といいます。動物は生殖できる期間が限られているので、その時期を逃さずに子づくりをしなければ、子孫を残すことができないのです。

 そのため、準備が整ったことを異性に知らせるために、ニオイを放っているというわけです。

ジャコウのニオイ


 動物の性フェロモンでよく知られているのは、古くから香水の原料として使用されているジャコウです。雄のジャコウジカの精嚢でつくられるこの分泌物は、1立方メートルあたりに2億分の1gを分泌するだけで、雌を反応させることが可能なのだそうです。

 また、ジャコウのニオイはシカの雌だけでなく、人間の女性にも働きかけて、性ホルモンの分泌を高めることが判明しています。とくに、女性の排卵時にはジャコウのニオイに対する感受能力が高まるという研究報告もあります。

 そのためジャコウは、その高貴な香りを楽しむのみならず、寝室における媚薬的な使い方もされてきました。ただ、性的に成熟していない子どもと男性の半数は、ジャコウのニオイを感じ取ることができないそうです。

異性の発情を促すニオイ

ニオイを遠ざけると‥‥


 性フェロモンは即座に、異性の行動を引き起こす強力なニオイではありますが、この他にも、もう少し長い期間かかって、異性の発情を促進するニオイがあるということも、動物実験で確認されているようです。

 雌のマウスのみを集めて飼いならし、雄のニオイを一切全て、断ち切ってしまうと、通常は4~5日ごとにおとずれる発情周期が、次第に伸びていってしまいます。

 しかも、この雌をもう一度雄と一緒に住ませたり、または雄の尿やニオイがついた巣をいれてやると、発情周期がもとに戻るそうなのです。また、マウスの嗅覚器官を手術で切り取ってしまうと、発情しなくなるということも判明しています。

異性のニオイに触発される


 人間にも似たような事例があります。若い男女が共に行動する機会が極端に少なかったヴィクトリア朝時代のイギリスにおいては、通常、少女の月経がはじまる周期が遅かったと報告されています。

 ですが、現代になって男女共学がはじまると、月経開始時期が早まってきたそうです。これは、栄養状態がよくなったなどの、他の原因もあるとは思いますが、異性のニオイに触発されて、それまで抑圧されていた性的な成熟が早まったと考えられているようです。

 戦後の日本でも、女子の初潮年齢が著しく低下しました。戦前と比較して、戦後の共学制度や自由になった男女交際が影響を及ぼしていることは間違いないでしょう。

 男子の場合も、戦前と比較すると第二次性徴の発現が大幅に早まっていることが報告されています。これも栄養状態が良くなったことと、共学制度による異性の刺激が作用していると考えられます。

楊貴妃はなぜ皇帝を魅了できたのか

皇帝をひきつけたものは


 中国の唐の時代、玄宗皇帝の寵愛をその身に受けた、世界三大美女の一人である楊貴妃は、エジプトのクレオパトラと並んで、絶世の美女の代名詞とも呼べる女性です。

 当時、夷狄(野蛮人)とよばれて、中国人から蔑まれていた辺境の胡の国出身であった楊貴妃が、時の絶対権力者の寵妃という地位につくことができたのは、その美貌と知性はもちろんのこと、彼女の身体から発散していた自然の芳香を、玄宗皇帝が愛したためと伝えられています。

 玄宗皇帝が楊貴妃との愛に溺れているうちに唐の国の政治は乱れてしまい、その政治に反旗をひるがえした軍に追い詰められた皇帝が自分自身の手で愛する楊貴妃を殺害してしまうという悲劇的な末路を迎えてしまうことになってしまいます。皇帝は妃の香りをしのんで、その棺を竜脳(樹液から作られる香料)の香りで満たしたと伝えられています。

軽度のワキガで魅了


 皇帝を魅了し、国を滅ぼすもとになった楊貴妃の身体のニオイとは一体どういうものだったのでしょうか。

楊貴妃は、温泉に香りの良い草花を浮かべて湯あみしたり、香木で建てた家の中で香料をたちこめさせて楽しんだりと、人工的なニオイをふんだんに活用しました。

ですが、そもそも最初に玄宗皇帝をひきつけた自然の芳香とは、彼女自身の軽度のワキガだったそうです。中国人は体臭が薄く、ワキガが少ない民族であるために、辺境の国から来た楊貴妃の、いわば人間ジャコウのようなニオイに、皇帝はえもいわれぬ魅力を感じたのでしょう。

 また、ワキガは汗や汚れが加わると強い異臭になってしまいますが、楊貴妃は湯あみをし、専用の大きな浴槽を作ったほどなので、不潔とは無縁だったのでしょう。だからこそ、体臭を純粋な香料のように保つことができたのだと考えられます。

嗅覚の変化するにつれて

嗅覚の退化


 動物の性フェロモンのような、異性に直接的な行動をとらせる分泌物は、いまのところ、人間には発見されていません。

 共同で社会生活を営み、1年中発情、妊娠ができる状態になった人間には、特定の信号によって性行動を抑える必要がなくなったので、そういった機能が退化してしまったのだろうと考えられます。

 ですが太古の昔に、人間が類人猿に近かった頃、現在ワキガとして残っている分泌物が、その役目を果たしていたと考えられます。その当時は、発臭場所も、身体のあちこちからより強いニオイを放って、異性をひきつけていたのでしょう。

強い刺激=悪臭と伝達


 かつては性的興奮を引き起こす心地よいニオイだったワキガが、今では一般的に悪臭として忌避されているのはどうしてでしょうか。原因は様々ですが、最も大きな理由として人間の嗅覚が変化してしまったことが挙げられます。

 昔と比較すると、ニオイを嗅ぎ分ける能力自体が低くなっているため、人間の嗅覚にとってワキガのニオイは強い刺激となってしまうのです。

 そのため、嗅覚がその情報を性的信号として正しく受けとめて脳に伝えることができずに、強い刺激は悪臭であると伝達するようになったためと考えられています。

 ただ、普段は悪臭と受け取る人であっても、性的興奮が高まっているときはワキガが芳香に感じられるということもあるそうです。悪臭までとはいかない程度のワキガなら依然として快いニオイとして感じ取ることができる面があります。

強すぎれば悪臭となる

濃度の違いはニオイの違い


 悪臭を放つものを薄めると快い香りになったり、逆に快い香りが濃くなると悪臭に変化してしまうことは、よくあります。

 ニオイとなる成分は化学的にみると同じものを、濃度が違うと嗅覚が全く別の刺激としてキャッチしてしまうためです。

 ジャコウは、ジャコウジカから精嚢ごとと取り出します。このときは、ちょうど糞のような不快なニオイですが、薄めていくに従って、古来から人間に珍重されてきた芳香に変化します。

 動物性の香料として、有名な龍涎香(アンバー)はマッコウクジラ腸内にできる結石です。これも原料の段階では、強烈な段階では強烈な糞のニオイがします。

 さらに人間の糞そのものも、アルコールで1万倍に薄めると、ジャスミンやくちなしなどの花の香りがしますし、磯のりやつくだ煮のくせのあるニオイも10倍に薄めるとイチゴジャムやコンデンスミルクのニオイに変身してしまうことが判明しています。

 逆にオレンジの、香りの成分の濃度を100倍くらいにすると、油くさいキツイ悪臭になってしまいます。また、少量使えば料理の味をひきたてる香料も、分量を間違えて大量に入れてしまうと、ニオイが鼻について、食欲をそいでしまいます。

濃く、強いニオイほど不快


 かすかに漂ってくる分には、うっとりするような良い香りの香水も、大量につけてしまうと、頭痛がしてくるほどの悪臭に感じられるものです。

 どんな人にも当てはまるような良いニオイと悪いニオイを定めることは困難ではありますが、やはり一定の傾向があるようです。すなわち、ニオイの濃度が上がれば上がるほど、そして強くなればなるほど、そのニオイが不快に感じられるようです。

日本人にはワキガ体質が少ないからこそ

日本特有のもの


 ワキガのニオイというものは、軽度のものであればセックス・アピールにもなりうるものであり、ワキガの臭いに特に敏感な人を除けば、それほど人に嫌がられるものではないのです。

 それが強いワキガとなってしまうと、大抵の人に嫌われてしまう悪臭に変わってしまうのです。ただ、臭いが強いということで差別されてしまうのは、日本特有の好ましくない現象と言えます。

 欧米ではワキガのニオイで悩んでいる人は、あまりいません。ただ、欧米人でもワキガを嫌なニオイと捉えている人も多く、極端に強く臭わないように気を配るのがマナーとされているようです。

嗅覚が鈍くなる


 しかし、欧米人の場合はワキガ体質の人が80%と圧倒的に多いので、彼らにしてみればありふれたニオイということになっているのです。また、嗅覚には同じ種類のニオイをしばらくの間嗅いでいると、そのニオイに対して嗅覚が鈍くなってしまうという特性があります。

これはワキガについても言える事で、周辺に大勢のワキガの人がいると嗅覚がその臭いに慣れてしまい、ニオイを感じないので普通どおりでいられることもあるのでしょう。

 一方、日本人ではワキガ体質の人は全体の10%で、少数派といえます。集団の中に1人だけ異質のニオイを発散している人がいれば、どうしても目立ってしまい、仲間外れにされてしまいがちです。

 また、ワキガの人もそのことで劣等感にさいなまされることになってしまうのです。

日本人はニオイに敏感な民族

日本人の清潔志向


 日本人は、江戸時代において既に銭湯や床屋が繁盛していたことからも分かりますが、早くから一般庶民の間で「身ぎれいにして、におわないこと」が美徳とされていた民族といえます。

 幕末に黒船で来航したアメリカの提督ペリーは、日本人の清潔さに驚き、感心したという記録が残っているほどです。

 日本人は全体として、体臭が薄い民族ではありますが、だからこそ、汗や汚れによる軽い体臭にまで敏感で積極的に自分の身体のニオイを隠そうと努力してきたのです。

 欧米では強い体臭があることを認めたうえで、より強い香りでおおい隠すという方向から香水が使用されてきたのですが、日本では事情が少し違ってきます。

例えば、香水を使用するにしても、まずはニオイを消して、その上で、香などを身につけて、微かな良い香りを装おうとしてきたのです。

悪臭の追放


 こういった環境の中では、もともと少数派のワキガ体質の人の強い臭いは、余計に目立ってしまうのです。そして、日本人の清潔好きで、強いニオイを極端に嫌う傾向に、現代ではますます拍車がかかっているようです。

 空調完備のマンション住まいでトイレは水洗、町の中から道端の下水溝やドブ川もほとんど無くなってしまいました。現代の都市では、悪臭や異臭を放つものが、昔と比較すると少なくなりました。

 こういった人工的に整備された環境の中で生活する現代の日本人は、それに飽き足らず、悪臭を徹底的に無くそうとしています。水洗トイレや車の中、玄関先に置いてある脱臭剤芳香剤は、他の国ではあまり見かけないものです。日本人は、それほど悪臭を嫌っているのです。

 強い体臭を持つ人にとっては、これまでに無かったほど風当たりの強い時代になったと言えるのかもしれません。

ワキガは何故起こるのか

汗が関係


 ワキガというのは一種独特なニオイです。ワキガのニオイを発している本人は気にならなくても、他の人にしてみれば不快で耐えられないニオイなのです。ワキガは、どうして発生するのでしょうか。

人間の皮膚の表面は角質という組織で覆われています。角質は古くなり固まった細胞で、本来はガサガサしていますが、皮脂膜のおかげで人の肌はしっとりしているのです。皮脂膜は、皮膚をなめらかに保つクリームの様なものと言えます。

ワキガとは汗をかくことによって生じるものですが、その汗にも2種類あってエクリン汗腺から出る汗と、アポクリン汗腺から出る汗に分かれます。ワキガはこれらの汗腺と皮脂腺から分泌されることで発生するのです。

エクリン汗腺


 通常、汗をかくというとサラッとして粘り気のないことをいいます。この汗は弱酸性で成分は99%が水分で残りが塩分です。これはエクリン汗腺から分泌され、1日で平均約2リットルかくと言われています。

 エクリン汗腺は皮膚をしっとりさせ、皮膚の表面に付着する細菌を殺す役割も果たしています。そして、体に熱を持った時などに気化熱を利用して体温の調節を行なってくれるなど、いいことばかりしてくれる汗といえるでしょう。

アポクリン汗腺


 一方、アポクリン汗腺から分泌される汗はワキガの原因となるものです。アポクリン汗腺は脇の下、性器の周囲、乳首の周辺、耳の中といった特定の場所にしかありません。ここより分泌される汗は、粘り気があり色も乳白色で特殊なニオイを発します。

 アポクリン汗腺の出口は毛穴と通じており、その出口の下には皮脂腺がこぶの様についています。皮脂腺はアポクリン汗腺と同じ毛穴を通じていますから、アポクリン汗腺からの汗と皮脂が混じることでワキガを作ってしまうのです。

ワキガが臭う理由

ワキガになる人とならない人


 ワキガが臭う主な理由は、アポクリン汗腺と皮脂腺による分泌物だと言われていますが、はっきりとした原因は特定されていません。では、全ての人がワキガにならないのはどうしてでしょうか。それには3つの理由があるのです。

1.ワキガはアポクリン汗腺の量によって決まり、脇の下のアポクリン汗腺が多い人はワキガになりやすいということです。ワキガが普通な欧米人の脇の下は、アポクリン汗腺が多く存在しています。

2.アポクリン汗腺に入っている成分が人によって異なります。これは人によってワキガのニオイに違いがあるのは、成分が異なるからだとする考えによるものです。

3.皮脂腺から出る脂肪に関係があるという理由で、皮脂腺からの分泌物がワキガの素になるというものです。皮脂腺からの分泌物である皮脂は弱酸性で殺菌力があるのですが、脂肪が多くなってくるとアルカリ度が高くなり、細菌が繁殖してきます。

脂肪が細菌で分解されると、そのニオイがワキガの悪臭のもとになるという説です。分解というのは腐敗を意味するので、臭うのも当たり前と言えるでしょう。

 ワキガが臭う理由は、その3つに大別されるのですが、その内どれなのかという特定はできません。また、この3つが複雑に絡み合って、ワキガが発生しているとも言えるのです。

ワキガの完成


 ワキガになるといわれる理由を総合的にみると、ワキガのメカニズムは

○アポクリン汗腺から汗が分泌される
          ↓
○汗は悪臭を放つものの、粘り気があるのですぐに乾く
          ↓
○エクリン汗腺から出た汗が乾いたアポクリン汗腺の汗を溶かす
          ↓
○細菌で分解された皮脂のニオイが加わり、ワキガのニオイが発生

ということになります。

ワキガが発生する時期

性ホルモンの分泌から


 ワキガが発生する時期というのはいつごろになるのでしょうか。

 大体、女性は初潮を迎える時期に、男性はひげが生えてきて声変わりするようになる時期にワキガが発生してくると言われます。すなわち、多くの場合は男女ともに性ホルモンの分泌が起こる思春期になるとワキガが生じるのです。

 男性の性ホルモンは主に、睾丸から分泌され、女性の性ホルモンは卵巣で分泌されます。男性の性ホルモンは男性らしい体を作るとともに、精子の製造に関わってきます。

 女性の性ホルモンも同じく、女性らしい丸みを帯びた体をつくり、卵子の製造に関わってきます。女性ホルモンが働き出すと、初潮が始まり、胸が膨らんできます。

 ワキガを発生させるアポクリン汗腺は、性ホルモンの発生と共に活発化してきます。そのため、性的特徴が顕著になるに従って、ワキガのニオイも次第に強くなってくるのです。

ワキガはにきびと共に

 

 そもそも体臭とは、動物特有の異性を誘引するフェロモンとなるものです。動物がニオイを発することで異性を誘引するように、人間のワキガのニオイも性ホルモンの分泌がピークになる20歳代が最高となります。

 そして、性ホルモンが減退し、または分泌が終わる更年期に入るとワキガの発生も弱くなり、ニオイも出なくなるのです。つまり、ワキガはにきびと共に始まると言えます。にきびは性ホルモンの分泌と関係があるので、ワキガとも関係しているのです。

中学生くらいになると皮脂腺の活動が活発化し、体全体が脂っぽくなってきます。にきびの発生には男性ホルモンが関係しており、これが皮脂腺の分泌を促し、その脂肪にアクネ菌という細菌が入り、にきびを作っているのです。

ワキガも皮脂腺の脂肪に細菌がついて、その脂肪を分解することで発生するので、にきびの発生と似ています。ワキガとにきびは、お互いに関連しあっていると言えるでしょう。

ワキガが気になる季節

夏はニオイやすいか


 ワキガが気になる季節というのは、いつごろになるでしょうか。一般的なイメージとしては夏が思い浮かぶのではないかと思います。

 夏は、イメージ的には汗を一番かくと考えられ服装も開放的になるので、ニオイが最も感じやすいと考えられます。

実際、夏の頃になると汗を多量にかくので、エクリン汗腺から分泌される汗がアポクリン汗腺の汗を溶かして広めるために、ニオイが強まるといえます。

しかし逆に、汗を多くかくことでお風呂に入ったりシャワーを浴びる機会も自然と増えてきます。そうなると、誰でも冬と比較すると夏は清潔になると考えられるのです。

 また、服装が薄着になっているので、風通しがよくなり乾燥しやすくなることから、ワキガが発生することは少ないといえるのです。

湿気は大敵


 ワキガの発生で一番多いのは、1~2月と6月の時期です。

 6月は、1年を通じて最も湿気が多い季節といえます。6月のじめじめした空気は、皮脂腺から出た皮脂に細菌がついて繁殖する絶好の条件となってしまうのです。

 1~2月は暖房がよく効いているため、想像以上に汗をかいているのです。しかも冬なので服装は自然と厚着になってしまいます。結果、脇の下はジメジメし、細菌が繁殖する絶好の状態となります。

 加えて、服装が厚着なので着ているときはニオイは漏れませんが、室内に入りコートなどを脱ぐと、ワキガが臭ってしまうことになります。

ですから、湿気が多くなる梅雨と冬には注意が必要です。

ワキガは遺伝するのか?

ワキガ体質


 家族全員がワキガだったために、それが人間として当たり前のニオイだと捉えて、自分たちがワキガだということに気がつかなかったというケースはあるものです。

 ワキガの場合、本人だけがワキガで本人以外の家族はワキガではないということは、あまりないのです。そうなると、ワキガが発生する体質というものは、親から受け継いだもの、すなわち遺伝するということが言えるのです。

 常染色体優性遺伝といって、両親の特徴的な体質を受け取りやすいということです。ワキガの他に、二重まぶたも常染色体優性遺伝のひとつといわれています。両親のどちらかが二重まぶたの場合は、二重まぶたが遺伝として残るのです。

 では、ワキガはどれくらいの確率で遺伝するのでしょうか。統計をとると、両親の片方がワキガである場合は、その子どもには約50%の確率でワキガが遺伝することになります。
両親のどちらもワキガだと、約80%の確率で子どもに遺伝するのです。

食生活との関係


 両親にはワキガがあるのに、祖父母にはワキガがないという家系の人もいるようです。

どうしてそうなるのかというと、両親が育った頃が欧米型の高タンパク・高脂肪・高カロリーの食事に変わってきた時期で、豚肉や牛肉、バターやチーズなどを摂取し始めたことに原因があると考えられます。

 こういった事を踏まえると、ワキガのニオイが気になるという人は、食生活を改善すれば、ある程度ワキガの発生を防ぐことができると言えます。

多汗症との関係

多汗症=ワキガか?


 多汗症の人はワキガになりやすいのでは‥‥と考える人もいるかと思います。実際その通りで、ワキガの人は多汗症である場合が非常に多いのです。

 しかし、多汗症=ワキガと確定するのは間違いです。なぜなら、多汗症はワキガの直接的な原因ではないからです。多汗症はエクリン汗腺から分泌される汗の量が、一般の人よりも多いだけなのです。

 ワキガが発生するのは、アポクリン汗腺からの汗と皮脂腺からの分泌物を、エクリン汗腺の汗が溶かして拡散するためと考えられています。つまり、アポクリン汗腺と皮脂腺の分泌物が少ない場合は、多汗症であってもワキガが気になることは少ないのです。

2つのタイプ


 多汗症には「全身多汗症」と「局所性多汗症」の2つのタイプがあります。

 「全身多汗症」は急性リューマチや結核のような発熱性の病気が原因となって起こることがあります。

 「局所性多汗症」は、手のひらや足の裏、頭、脇の下などに異常な汗をかく場合をいいます。ただ、これは病気などが原因ではなく精神的・神経的な原因によって発汗します。人は誰でも緊張したり、興奮したりすると汗をかくものです。

 例えば、車にひかれそうになったり、暗いところで後ろから誰かにつけられたり、面接試験・入学試験などは、極度の緊張から額、脇の下、手のひらなどに汗をかいてしまいます。

 ワキガで悩む人のほとんどは多汗症でもありますので、ワキガの手術をすることで一緒に治療することができるのです。ワキガが治ると、同時に多汗症や汗の黄ばみもおさまるケースが多くあります。
 
 ワキガをなくすためには、多汗症を治すこともひとつの方法だと言えるでしょう。

自分はワキガかどうか

客観的な判断を


 自分では普通に過ごしていて、ある日いきなり、人からワキガを指摘されてしまった‥‥こうなると多少なりとも、どんな人でも傷ついてしまうものです。

 特に女性の場合、必要以上に思い悩んでしまうのは無理もないことです。そして、ニオイを消そうと、ハンカチやウェットティッシュで脇の下をふいたり、デオドラントスプレーなどを頻繁に使用する人も少なくありません。

 そして、それでも気になれば落ち込んでしまい、毎日を憂鬱な気分で過ごすことになってしまいがちです。ただ、本人にとっては深い悩みであっても、周囲の人たちはそれほど気にしてないこともあるのです。

 しかし、ワキガを気にしてストレスをためることによって、ますますワキガがひどくなるという悪循環に陥るという事態になりかねません。過度な緊張やストレスは、ワキガの大敵なのです。

 リラックスした状態でいることが大切です。ワキガを悪化させてしまわないためにも、自分の状態をしっかり把握し、必要があれば専門の医者に治療を受けるようにしましょう。

ワキガチェック


 ここでは、自分がワキガかどうかを簡単ですが、チェックしていきます。

□汗をかくと白いシャツやブラウスに黄ばみが残る

 黄色のシミはアポクリン汗腺から分泌される汗で、ワキガが臭うことがよくあります。

□緊張・興奮によってじっとりと汗をかく

 周囲の人は汗をかいていないのに、自分だけ下着やワイシャツ、ブラウスに染み出てくるような汗をかく場合、多汗症の疑いがあります

□体毛が濃い

 アポクリン汗腺は、人間の体毛が生えている部分に多く分布しています。ですから、体毛が濃いと、アポクリン汗腺から出た汗でワキガが発生しやすいといえます

□耳垢が柔らかく湿っぽい
 
 耳垢が湿っているのはアポクリン汗腺からの分泌物が多いことによるもので、耳に多ければ、脇の下にも多くあるということになります。

□シャワー後、数時間で体臭が気になる

 気になるのは自分がワキガだという認識があるからで、自分ではっきりと分かるニオイがあれば、ワキガである可能性があります

ここの項目に多く当てはまり、自分でも気になるようであれば医師に相談して、治療を受
けるようにしましょう。

自己臭症の人は

本来のワキガ体質者は治りやすい


 体臭が気になって病院に行く方の中には、診察室に入ると強烈なニオイを発散する人もいれば、脇の下をいくらかいでも、全く臭わない人など、様々な人がいます。

 本当のワキガ体質者とは、

○耳アカが柔らかい
○遺伝傾向がある
○脇の下の毛が濃い
○下着やシャツ・ブラウスが汗で黄ばむ

といったような傾向が見られます。これらに当てはまるからといって、落ち込む必要はありません。なぜなら、本来のワキガ体質者は、治療しやすい面があるからです。

 ワキガは外科的療法によって、完治させることもできます。臭いが強烈であればあるほど、それだけ手術後と手術前の変化が大きくなります。それに患者さんにも、臭いが消えたことが認識してもらいやすいからです。

自分だけが気になる自己臭症


 しかし、自分だけがニオイを気にして、それがあると思い込んでいる「自己臭症」の人は手術を受けてしばらくしてから、また「やっぱりニオイがすると思うので‥」と再び病院を訪れるケースが少なからずあります。

 概して、自己臭症の方々は、随分悩みぬいたあげく手術を受けようと決心して病院にいくので、医者が「臭いはありません。気のせいですよ。」と言っても「気をつかって慰めるために嘘をついている。」と捉えてしまいがちです。

 では、そういう方々はどうすれば気持ちが晴れるのでしょうか。その思い込みを払拭するために、手術でアポクリン汗腺を取り出した後に医者の方にお願いして、本来のワキガ体質者のアポクリン汗腺の写真と患者の写真を比較してもらいましょう。

このような確実な証拠を見つつ、「アポクリン汗腺の量が少なく、ワキガではないですよ」と言われると気分的に落ち着いてきて、納得できるものです。

神経症としての自己臭症

対人恐怖の一種


 単なる思い込みで、自分の体臭を気にしている人に対しては、きちんと証拠を踏まえて説得すれば納得してくれて、悩みも解消するケースが多いようです。しかし、神経症としての自己臭恐怖の人には精神療法が必要となってきます。

 神経症としての自己臭恐怖は、赤面恐怖と同じく、精神病理学的に「対人恐怖」として分類されているのです。

 対人恐怖(自己臭恐怖や多汗恐怖)の発生は、他の神経症一般の発生と同様に、ヒポコンドリ性基調という神経症になりやすい性格がベースとなっています。

そして、なんらかの契機で精神交互作用という悪循環に陥ってしまい、症状が固まり、神経症になるというものです。

神経症になりやすい人とは


 神経症に陥りやすい人とは、どのような特徴をもっているのでしょうか。

まず、人の目をじっと見て話をすることは少なく、目を伏せがちで、小声で話します。つまり、内気で内向的な性格ということなのですが、一方で負けず嫌いの完璧主義者で、努力家で、強い向上意欲をもっているという面も持ち合わせています。

さらに、強い執着傾向があるために、自分に注意や関心が向きやすく、ある問題が意識に浮かんでくると、それが解決するまでは注意が他に向きにくい状態になるということも特徴といえるでしょう。

こういう特徴のある方は、医者の言うことを信頼しつつも疑問に思ったことはどんどん質問をしていきましょう。

治療行為とは医者と患者の共同作業です。自分の思っていることをきちんと言葉にして伝えていかなければ、医者の方も的確な分析ができず、治療したいと思ってもできなくなってしまいます。

精神療法について

精神分析療法


 正統な精神分析療法とは、週に何回か面接を行なって、自由連想法という方法で患者の想起する話の内容や、その時の態度や振る舞い、そして、治療者に対する感情などを手がかりとして患者の深層意識を探っていきます。

 そして、それまで気がつかなかった心の奥底の衝動や願望を意識化させ、そのことにより、無意識によって支配されていた存在を脱して、病気から解放に導くというものです。

 しかし、自己臭症、多汗症恐怖への正統な精神分析療法の応用は、多くの時間を必要とすることと、患者側の治療意欲と協力が必要なことなどで、実際には難しいことが多いようです。

 それでも精神分析療法は、患者の過去の生活史や自己臭恐怖の契機となった無意識の動機や、対人・対社会関係などを明確にすることによって、患者の自己像をより客観的に判断する能力やセルフコントロールの能力を高めることにもつながります。

 他の精神療法などの補助療法として有効性があるといえます。

ロゴセラピー


 人間の単純な心理的原理を応用するロゴセラピーは、外来での自己臭症の治療としては、簡単かつ有効なものといえます。

 人間の単純な心理的原理とは、いわば「逆転の発想」ともいえるでしょう。逃げれば、追いかけられ、追いかければ逃げるということです。つまり、「逃避する態度はかえって恐れるものを出現させる」という原理を逆に応用するということです。

 ロゴセラピーの生みの親、ヴィクトール・フランクルが言った言葉に「昨日はまだ1リットルしか汗をかいていない。それでは今日はひとつ10リットルばかり発汗してやろう」というものがあります。

 このような開き直った態度やユーモアで、自ら自分の症状を調整すれば自然と症状から距離がとれてくるものです。

ロゴセラピーは、森田療法、精神分析、行動療法などと違い、時間的に短時間で一度の面接で治癒することもあります。

重度の自己臭症

妄想の確信


 自己臭症の人の中には、重症の神経症や統合失調症に近い人もいます。こういった症状をもつ人はありもしない妄想をかきたて、それを事実だと思い込みます。

 例えば、「自分が会社に行くと、他の人が『臭い』とか『気になるから出て行ってくれ』と言われたり、窓を開けられたり、席をたったりする。」などと訴えます。

 これを分析すると、その人は他人に自分が臭っていると恐怖しているのではなく、他人が自分を忌避する行動をとるから、確実に自分は臭っていると確信しています。

関係妄想


 他人が席を立ったり、窓を開けるのはよくあることで、第三者から見れば偶然的なことで、本人には無関係の出来事に過ぎません。ですが、本人は偶然とは捉えずに、自分と関連づけてしまうのです。

 これは精神医学では関係妄想と呼び、統合失調症の人に現れる症状です。また、自己妄想だけでなく、幻聴のような知覚障害や、他の被害的・誇大的妄想なども訴えます。

 こういった重症の神経症や統合失調症の人の治療は、向精神薬の投与が最初に行なわれ、精神療法だけでは不十分なことがあります。場合によっては、精神科の病院に行って治療しなければいけません。

 ここで重要なことは、治療者側に統合失調症かどうか判断できるだけの精神医学的知識があることです。患者の訴えに従って、手術をしたとしても患者の妄想は解消されず、手術の繰り返しを招く恐れがあるので注意が必要です。

人はニオイに敏感

ニオイを良くするために


 人間にとって、その時々の精神状態を左右する大きな要素に、ニオイがあります。ニオイは脳裏に焼きついて、ずっと以前にかいだニオイを何年も後になって、思いがけずかぐ時があります。

すると、懐かしい昔のことが思い出されて心を豊かにしてくれたり、逆に嫌な記憶を思い出させたりすることもあります。昔なつかしいニオイは、夢多かりし少年・少女時代の思い出を心のパノラマに映し出してくれます。

良いニオイに囲まれて毎日生活できたら、どんなに素晴らしいかと誰もが思うところです。事実、その夢を実現するための試みは、昔から行なわれてきたのです。

 日本では、仏教の伝来と共に、仏間に供香がたかれるようになり、紫式部などが活躍する平安時代になって普通の部屋で香をたくようになります。さらに時代が進むと、香をたく部屋に衣装をかけておき、そのニオイを衣服に染み込ませる移香が行なわれました。

香水は体臭を隠すものだった


 当時は日常的に入浴するという習慣は無く、しかも十二単などという非活動的な衣装に囲まれていたために、不快な体臭に悩まされていたことでしょう。

 西洋においても事情は同じです。ローマ帝国時代のヨーロッパは、その帝国崩壊と共に風呂に入る習慣もすたれてしまい、それ以降千年間は浴槽というものが無かったのです。

 香水は実はこの時代に生まれ、普及していったのです。香水もまた、おしゃれからではなく、切実な体臭隠しの必需品だったのです。

 また日本の話に戻りますが、古い茶室や神社仏閣などでは、単に香をたくことでニオイをつけるだけではなくて、悪臭をとるための努力もしています。

現在でも、冷蔵庫などのニオイをとるのに活性炭を利用しますが、古い建物の周囲には炭を敷き詰めて、嫌なニオイを追い出しているのです。人間がいかに、ニオイに対して敏感に対応していたかを伺うことができます。

ニオイの感じ方は様々

ニオイの快・不快


 ニオイに限らず、色・音・味も当然のことながら快いものと不快なものがあります。快いものならいいのですが、それが不快なものなら、人はただちに拒否反応を起こします。

 不快な色なら思わず目をそむけ、嫌な音なら耳をふさぎ、まずいものを口にすれば吐き出してしまいます。

 ニオイについても同じ事で、腐敗した臭いやアルコール臭などをかぐと、一瞬顔をそむけたり、呼吸を止めたりして、そのニオイから逃れようとします。不快なものから瞬間的に逃れようとするのは、人間の防衛本能のひとつなのです。

ニオイの区別


 ところで、ニオイの良し悪しはどのような基準で分けられているのでしょうか。一般的に、ニオイの快・不快は次の4種類に区別され判断されます。

○質――――――――-ニオイの種類
○強度――――――――ニオイの強さ
○認容性――――――――好みのニオイであるか否か
○広播性――――――――どれほどの濃さでにおうのか

良いニオイか悪いニオイかはこの4つの基準に照らして、自主的・主観的に判定されま
す。

ただ、快・不快の境目は個人によって異なり、一様にその境を定めることはできません。 そして、ニオイに対する反応は、その人の置かれている条件や環境、精神状態によって様々に変化します。

それに、たとえ良いニオイであったとしても、一定以上の濃度になれば不快なニオイになることもあります。逆に悪臭でも、濃度が薄くなれば快いニオイに変化することもあるのです。

 一般的に、ニオイが良いか悪いかの区別はあっても、微妙なところになると、その判断は人それぞれの感じ方に任せるしかないわけです。

 ですから、体臭についても第三者にはあまり不快に感じないのに、自分の体臭は不快だと気にしている人の主観的な判断基準で、自分だけが悩み込んでいるということが意外に多いものです。

ニオイの分類

リンネの分類


 誰もが日常生活において、多くのニオイをかいでいるわけですが、世の中にはどれぐらいのニオイがあるのでしょうか。あまり一般の人には役立つものではありませんが、数多いニオイを、その性質ごとに大別して分類しようとする試みもなされています。

 最も知られている分類法は、植物学者としても有名なリンネによるものです。リンネによると、ニオイは7種類に分類されます。

○芳香臭―――――月桂樹や熟した果実のニオイ
○馥郁臭―――――百合やバラ、沈丁花などの香りのよい花などのニオイ
○ジャコウ臭―――――ジャコウに代表される高貴な香り
○ニラ臭―――――ネギ、ニラ、ニンニクなどの鼻をつくニオイ
○尿臭―――――尿のニオイや山羊、狐、狸などのにおい
○悪臭―――――誰に対しても不快感を与えるニオイ
○腐臭―――――腐った肉のように、吐き気をもよおすようなニオイ

以上ですが、この他にも色んなニオイを分類する試みはなされています。

 一般には花や熟した果実の多くは快いニオイとされていますが、人によっては甘いニオイが不快、または不快に近い感じ方をする人もいるのです。

 また、ジャコウのようにジャコウ鹿やジャコウ猫から取り出したばかりの時は、不快感を伴うニオイにしか感じられないものが、薄めていくにつれて、誰もが夢心地になるような快いニオイに変化するものもあります。

 このように、ニオイは量や質によっても、その組み合わせによっても、微妙に変化するのです。体臭に悩む人の中には、少し離れたところでかぐと、けっして不快なものではないのに、肌と衣服からもれてくる自分のニオイを不快だと気にしていることがあります。

 気にするあまり、香水やオーデコロンをつけて、かえって不快なニオイとなってしまうこともあるので、注意が必要です。

嗅覚について

嗅覚の順応


 どんなに快いニオイであっても、不快なニオイであってもそのニオイを長時間かいでいると、全くといっていいほど、ニオイを感じなくなってしまいます。

 例えば、猫を飼っている家を訪れたときなど、猫の糞尿の鼻をつくような独特なニオイが気になるものですが、しばらくいると、次第にその家の住人と同じように、特別に意識しなくなってしまうのです。

 食べ物の場合も同じです。餃子を食べた時など、周囲の人には強烈なニンニク臭がするものですが、本人には臭いません。これは、本人の嗅覚の疲労(順応)によるものです。

必要な機能だからこそ


 嗅覚の疲労や順応は、嗅覚の弱点といえるかもしれません。ですが、私たちにとって必要があるからこそ備わっている特徴なのです。

 例えば、朝の満員電車の色んなものが混じったニオイ、ワキガ・口臭・体臭・たばこ臭さ・香水のニオイなど、これらがミックスされて最初の内は我慢できないくらいの不快感が襲ってきますが、しばらくすると、あまり不快感を感じなくなります。

 もしも、嗅覚が順応することなく、当初の不快なニオイがいつまでも続くと、電車の中で神経がまいってしまい、一日中、不快感とイライラがあり、遂には電車に乗ること自体に嫌悪感を抱くことになってしまうでしょう。

 逆に、嗅覚が疲労(順応)することによって、命そのものが危険にさらされることもあります。例えばガスが少しずつ漏れている時、知らない間にガスのニオイに慣れてしまい、非常に危険な状態となってしまうのです。

 嗅覚の順応にもメリット・デメリットはあるもので、気をつけたいところです。

嗅覚について(2)

嗅覚は訓練で鍛えられる


 人間の嗅覚の能力は、人種・性別・年齢・鍛錬などのよって、かなりの差があります。同環境、同条件に生活しても個人にかなりの差が出ます。他人が感じないニオイを敏感に感じる人もいれば、皆が臭っているのに、いつまでも感じない人もいます。

 また、嗅覚は訓練することで、その能力を発達させることが可能です。香料を調合したり、香りを作り出すことを仕事にしている人を調香師といいますが、彼らの鼻は訓練によって鍛えられたものです。

 欧米の化粧品会社では、調香師が社長をしのいで最高給取りというケースもよくあるのです。それぐらい、ニオイの識別は困難だということです。

嗅覚は時と場合によって変化する


 全てのニオイを敏感に感じ取る人は皆無といえます。嗅覚に関して自信があると思っている人は、実は一部の限られたニオイに自信があるということなのです。

 性別でいえば、女性のほうが男性よりも嗅覚は優れています。しかし、生理中は急激に鈍感になってしまいます。

 また、体調によっても嗅覚は変わります。風邪をひいた時など、嗅覚が著しく低下することはよく知られています。鼻腔が充血のためにはれて、気道が狭まるので、「鼻がつまる」状態となり、嗅覚が鈍くなってしまいます。

 身体的な疲労によっても、嗅覚は大きく変化します。朝起きた時が最も鋭くなり、夜になるにしたがって鈍くなっていきます。あと、空腹時には非常に敏感になってしまうことも、皆さん体験済みかと思われます。

ニオイは無くとも‥‥

人を悩ますニオイというもの


 良いニオイならいいのですが、悪いニオイの場合は周囲の人だけでなく、自分自身も大いに悩んでしまう、そんな厄介なものがニオイというものです。

 ワキガ・汗のニオイ・足のむれたニオイ・頭髪の脂っぽいニオイなど、これらは他人から指摘されなくても、ある程度は自覚できるものです。ただ、嗅覚の慣れも手伝って、他の人には臭うのに、本人には少しも臭わないことがあるものです。

 ある日突然、「あの人の傍に行くと、嫌な臭いがする」などと陰口をたたかれているのを知って、恥ずかしく思い、その場から逃げ出したくなった経験を持つ人もいるのではないでしょうか。

 一度、そんな体験をしてしまうと、誰も特に何も言わなくても、「自分は臭っているのではないか」と気になって仕方がなくなります。

 ある団体が行なったアンケート調査によれば、女子中・高校生のうち、自分のニオイが気になると答えた人は約8割だったといいます。ですが、実際に体臭が他人にも分かってしまう人は、10分の1にも満たなかったのです。

 実際は臭わないのに、必要以上に神経をつかって清潔にしようとする涙ぐましい努力を誰が笑うことができるでしょうか。それほどまでに気になってしまうものがニオイなのです。

自己臭症


 こうした努力にも関わらず、悩み・苦しみは深くなり、そのうち「自分は生まれつき臭う体質なんだ」と思い込んだりしてしまいます。こういう状態を「自己臭症」と呼び、これが原因で対人恐怖症になったり、ノイローゼになったりする人もいます。

 現実的な努力をして、内科などに通って治療したにも関わらず、それでもニオイが気になって鬱状態だという人は、「自己臭症」を疑ってみたほうがいいでしょう。精神疾患の一種ですので、専門医に相談してみることをお勧めします。

体のニオイ

臭いの元を絶つ


 ニオイは空気のようなもので、つかみどころがありません。しかし、ちゃんと発生源もあれば原因もあるのです。タバコの臭いや化粧の臭いならば、原因も発生源も明らかですし、対策もうつことができます。

 ですが、身に覚えのない体臭や口臭は発生源、原因ともに不明なことがあります。ワキガなどのように発生源は分かっていても、正しく原因が分からない場合もあります。

どれだけ毎日入浴しても、臭い消しのパウダーやスプレーを使っても、それは一時的なものです。しばらくすると、再び臭いが出てきてしまいます。こういう場合は、元を絶たないと問題は解決しません。

 参考までに、ニオイの主な発生場所と一般的な原因を挙げていきます。

■頭

 よく髪が臭うといいますが、適度なニオイは異性を魅きつける力をもっているのです。頭部は代表的な皮脂腺の発達部分で、頭皮表面に分泌された皮脂に細菌類が付着して臭いを発するわけです。

 このニオイそのものが、異性へのセックス・アピールとなる要素をもっているのです。動物が、よくニオイをかいで異性を求め合うことを考えれば分かると思います。

 しかし、だからといってニオイがあまりに強くなると逆効果となってしまいます。特に脂性の人は臭いが強くなりやすいので要注意です。

 また、頭髪は周りのニオイを吸収しやすく、加えて吸収したニオイを発散させる性質をもっています。タバコを吸う人はヤニやニコチンの臭いがしますし、強烈な臭いのする場所に一定時間いれば、その臭いが移ってしまいます。

体のニオイ(2)

耳・鼻・口の臭い


 耳から嫌なニオイがするようなら、すぐに耳鼻科医にいったほうがいいと思われます。いわゆる耳だれのニオイによることが多々あるからです。

 外耳炎の場合は、痛みや発熱などですぐに異常に気がつきますが、慢性の中耳炎の場合など、そうした症状が出ない場合があります。極端な場合は、中耳腔に膿がたまり鼓膜を通して外耳に少しずつ流れ出るため、独特なニオイを放つこともあります。

 耳アカがたまり過ぎた時も、ニオイが出ることもありますので耳は清潔に保つようにしましょう。

 もし、蓄膿症にかかると、人によっては強い臭いを放ちます。鼻の周りの骨の空洞部(鼻腔)に炎症がおこり、膿に似たくさい鼻汁が出るためだと言われています。

 蓄膿症の人には、口臭の強い場合も多くあります。これは、鼻がつまって口で呼吸をすることから唾液が乾き、口内の自浄化作用が低下するために生じる臭いです。

 口臭については、実に様々な原因があります。誰もが臭いを放ちうる可能性のある口臭は、生理的口臭といいます。

例えば、一般的に朝起きた時などは皆、口臭が臭うものです。寝ている時は唾液の分泌量が少なくなり、口の中が乾いて殺菌力が低下してしまうため食べ物の残りかすなどが分解・発酵して臭いが発生するのです。

 空腹時や食欲不振時、神経の長時間の緊張、女性の生理時、老人性の唾液減少、唾液腺疾患、ストレスなども、唾液量を減少させて口臭の原因となってしまいます。

 ニンニク臭やタバコのヤニ臭、酒臭いニオイなどは飲食物・嗜好品によるものです。

体のニオイ(2)

脇の下・生殖器・足の臭い


脇の下

 悪臭の代表といわれているワキガの臭いは、周囲の人も気になります。それ以上に本人が気にしてしまい深く悩ませてしまうのがワキガというものです。

 脇の下には、アポクリン汗腺と呼ばれる分泌腺が集まっていて、これが特殊な臭い物質が分泌されます。ですから、誰もが多少なりとも脇の下は臭うものです。

 本来、アポクリン汗腺から分泌される臭い物質は、異性を魅きつけ性欲を高めるニオイそのものなのです。

体毛にはニオイを吸収して、拡散させる働きのあることを考え合わせれば、アポクリン汗腺から分泌されるニオイの本当の働きは、異性へのセックス・アピールであることがわかります。

 しかし、そのニオイも強すぎると悪臭と化してしまうのです。人によっては、アポクリン汗腺から分泌される物質が、より多く、より強い臭いをもって発生してしまうことがあります。これこそがワキガということです。

 ワキガを完治させるためには、手術による方法が一般的です。

生殖器

 生殖器にもアポクリン汗腺が多くあり、ここから分泌される物質の臭いをシモワキガといいます。恥垢と合わさって臭いは強まりますが、これは入浴によって消すことが可能です。

 女性の場合、カビの一種であるカンジタによる膣炎や、トリコモナスという原虫による膣炎によっても悪臭を放つことがあります。これは主に、主婦がかかりやすいので注意が必要です。

 また、生理時にもニオイが発生します。悪臭とは限りませんが、女性にしてみれば気になるニオイといえます。

 通気性の悪い靴下をはいたり、ほこりや汗のたまっている靴をはくと、特殊な臭いがします。汗や皮脂がカビや細菌の働きによって発酵した臭いです。多汗症や脂性の人からは特に強い臭いがするようです。

このように、人は身体のいたるところにニオイの発生源をもっています。誰もが何らかのニオイを発しているものです。

口臭について

口臭の原因とは


人間が生活している以上、自然に発するニオイは容認できるとしても、終電近い電車に乗った時など、色んなものが混じり合ったニオイをかいだことはないでしょうか。

お酒、ニンニク、ニラ、などのニオイが微妙にミックスされて何ともいえない気持ちにさせられるものです。こういった例のように、口臭というと飲食したものが原因であると考えがちです。

歯茎などに食べ物の残りかすがたまり、口の中の嫌気性菌といわれる細菌が付着・繁殖して分解し、発酵することによって悪臭を放つことからも、それは事実でしょう。

それに、食べかすの他に、歯肉の後退、金属冠や義歯の不適合などによって不潔になりやすい場合にも嫌な口臭がしてしまうのは仕方の無いことです。

 このように、口臭といっても様々なものがあります。清浄不足による口臭や生理的口臭は本人が注意して清潔に保つ努力をすることで十分防ぐことが出来ます。

しかし、病的口臭となると話は別です。ほったらかしにせずに、病院などに行って治療する必要が出てきます。

治療の要する口臭


 では治療の必要な口臭について例を挙げてみましょう。

口内炎症

 歯槽膿漏、口内炎、歯肉炎などがある場合、膿や口腔内の皮組織が崩壊し、そこに嫌気性菌がついて、特殊な発酵臭を放つようになります。

 また、扁桃腺炎、慢性鼻炎、蓄膿症などの鼻・のどの疾患や、気管支炎、気管支拡張症、肺結核などの呼吸器疾患がある場合にも口臭に結びつく場合があります。

口臭について(2)

治療の要する口臭(2)


胃腸疾患

 悪臭を発する飲食物を摂取した場合、そのニオイ物質が消化過程で腸管から吸収され、血液の流れにのって、肺から悪臭ガスとして排泄されて臭うのですが、これは一過性のもので病的なものではありません。

 胃炎、胃拡張、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなごがあると、消化不良が起こり、飲食物の停滞、異常発酵がおこり、悪臭食物を摂取した時と同じ経過をたどって口臭となってしまいます。

 現代は、ストレスの中で生活しているといっても過言ではありません。ストレス過多時代なのです。そのストレスが原因となって慢性胃炎や潰瘍をおこす人が増えています。

睡眠不足、動物性脂肪やたんぱく質の摂り過ぎ、過食、便秘などとともに十分な注意が必要です。

 また、腸の働きがよくなかったり、腸内に疾患があったりすると、腸内の細菌バランスが崩れて、酵素分解が異状となって悪臭物質を発生させることになります。

肝機能低下

 肝臓の機能が低下すると、同時に代謝機能も低下してしまいます。正常な肝臓なら、口臭の原因になる中間代謝物といわれるアセトン臭、メルカブタン臭は分解されてしまいます。

腎機能低下

 腎機能が低下してしまうと、アンモニアくさい口臭がします。血中に尿素量が増加して、肺や口腔に分泌され、それが細菌の作用によってアンモニアが生成されるためであると考えられています。

糖尿病

 糖尿病も、代謝機能の低下や組織活性化の低下を招きます。唾液が減ってしまうため、嫌気性菌が増殖することによって、口臭の原因となります。

ざっと、口臭の原因になる病的症状を紹介してきましたが、やはり各臓器や器官の疾患が、結果的に口臭を作り出していることになります。

 ということは、それらの病気を治療してしまえば、口臭もまた治ることになります。

皮膚表面から出るニオイ

皮脂腺からのニオイ


 皮膚から発するニオイといっても、皮膜そのものに特別強い臭いがあるわけではありません。皮脂腺や汗腺から出される分泌物こそが体臭の主な原因になっています。

 皮脂腺から分泌されるのは、油脂成分です。そこに溶け込んでいる弱いニオイの発生物質や脂そのものが、皮膚表面に分泌された後に分解してできた脂肪酸が臭いを発する原因となるのです。

 この皮脂腺は食事の影響を受けやすくなっています。脂肪分を多く摂れば、皮膚は脂っぽくなります。猪や兎の肉を肉を多く食べると、そのような臭いがしますし、イワシやニシンなどのニオイの強い魚を食べても、通常より強い臭いの脂肪酸が分泌されるのです。

汗からでるニオイ


 皮膚表面から臭うものには、汗も忘れてはいけないところです。汗は汗腺から分泌され、エクリン汗腺とアポクリン汗腺があります。

 エクリン汗腺から出る汗には、ニオイ物質はほぼ含まれていません。塩分が多く含まれているので細菌の繁殖もあまり無いといえます。ですから、汗自体にはほとんどニオイはないといっていいでしょう。

 しかし、アポクリン汗腺から出る汗には様々な物質が含まれており、多少なりとも臭いがします。代表的なものがワキガといえるでしょう。

 人種によって体臭濃度が異なるのは、このアポクリン汗腺の量が原因と考えられています。アポクリン汗腺の多さ順でいうと、

黒人  →  白人  →  東洋人
 
となっており、体臭の強さも同じくらいです。

私たち日本人は、世界的に見て体臭の薄い民族ということがいえます。だからこそ、ニオイに敏感であるということなのでしょう。

排卵日前後に体臭が強くなることも

年齢を経るに従って


 一般的には、性ホルモンの分泌が一段と活発になる青年期にはより一層ニオイが強くなる傾向があります。そして、老齢期に向かうに従い、少しずつニオイが弱くなっていく傾向が見られるようです。

 女性では、更年期を過ぎた頃からワキガ臭がぐっと弱くなって、本人にも気にならなくなることが多いのですが、完全にニオイがなくなることはありません。

 女性は年齢による変化以外に、月経周期によっても性ホルモンの分泌状況が変わりますが、これがアポクリン汗腺の活動に影響することもあるようです。

排卵期の女性はニオイに対して敏感


 女性ホルモン(卵胞ホルモン)の血中濃度があがる排卵日前後に、体臭がきつくなる人が結構いるようです。動物実験では排卵がある発情期に、アポクリン汗腺、皮脂腺とも分泌が活発なったことでニオイが強くなることが確かめられています。また、排卵期の女性が近くに行くと、雄猿が興奮するという報告もあります。

 しかし、周りの人間にすぐそれと分かるほどの激しい体臭の変化があるのかどうかは判明していません。

 排卵期の女性はニオイに対して感受性が高まると報告されていますが、そのためにこの時期に特に自分の体臭に敏感になるという要素もあるようです。

 つまり、人間と動物が発するニオイは、性ホルモンの活動と無関係ではないということでしょう。体臭ひとつとってみても、その仕組みというものは複雑であると言えます。

食習慣の違いで国民のニオイが決まる

民族臭は食生活によるもの


 厳密な意味では体臭とは異なるのかもしれませんが、国や民族に固有のニオイや職場や住んでいる環境によるニオイなども体臭と呼ぶこともあります。

 民族臭といわれるものは、その多くは固有の食習慣によるものです。焼肉やギョウザを食べたあとのニンニク臭さ、酒やタバコ、コーヒーのニオイなど強いニオイの飲食物をとったあとは、それだとはっきり分かる口臭が一時的にするものです。

 しかし民族臭は、それとは異なり、常に身体全体から微かに発散しているような印象を受けます。これは体臭の原因のひとつ、皮脂腺の分泌物が分解されて出来たニオイとされています。

 というのも皮脂腺は食事の影響を受けやすく、一定の食べ物を食べ続けていると、それなりのニオイを発散し、体臭の一部になってしまうのです。

 日本人でも乳製品や肉などを主体とした欧米風の食生活に慣れてしまうと、バタ臭い体臭を発散するようになるのです。

職場や環境上のニオイ


 また、職場や環境によるニオイもあります。お坊さんは袈裟を着ていなくとも、線香のニオイで分かりますし、医師や看護婦は薬のニオイがするといったような感じです。

 これは身体自体が発するニオイではなく、強いニオイの中に長時間身を置いているために、髪の毛や衣服、あるいは皮膚表面にニオイの成分が付いたものと考えられます。

香水やタバコのヤニ、シャンプーや石けんのニオイのように一時的に身についてしまうニオイと性質は同じであると言えるでしょう。

清潔症候群

一種の社会的な病気


 ここ数年、日本人で10~20代の若者の間で、身体の清潔に必要以上に気を使う傾向がでてきているようです。

 会社や学校では、昼休みにOLや女子学生がトイレで食後の歯磨きをするのは、常識のようになっていますし、女子高生の3人に1人は市販の脱臭パウダーやスプレーを持ち歩いて、頻繁に脇の下や首筋にふきかけているようです。また、最近は女性のみならず若い男性にも、この風潮が広まっているようです。

 強いワキガ体質の人であれば、こういった努力をする気持ちも分かりますが、ほとんどの日本人は体臭が薄いものです。普通の生活をしていれば、少しばかり風呂に入らなくても他人がはっきりと分かるような体臭が出ることはありません。

 ですが、それでもなんとかしてニオイを消そうと努力する若い人たちを称して「清潔症候群」という言葉が作られました。一種の社会的な病気のようにも思えます。

コミュニケーションの不器用さ


 現代の若い人がこれほど自分たちの体臭を恐れるようになったのは、他人とのコミュニケーションの仕方が上手でない人が増えたことと関係があるようです。
 
 他人を受け入れ、自分を受け入れさせる、そして他人と上手に距離を取るといった訓練がうまくできていないがゆえに、他人との関わりに恐れを抱いて、他人の自分に対する評価が気になって仕方ないといった感じになります。

 そして自分のニオイを気にするあまり対人恐怖症にかかって、人前に出られなくなってしまう人が増えているようです。ただ、現在の社会自体が対人恐怖症にかかっているために、ニオイを排斥しようとしているところもあるのかもしれません。

ワキ毛の処理

ワキ毛の弊害


 ワキ毛もまた、ワキガのニオイを強める大きな要因となっています。ワキ毛は、ワキガのニオイを一旦ため込んでから、毛を伝わせることでより遠くへ、より強く発散させるという働きをしています。

 原始時代に、ワキガが異性を呼び寄せる信号であった時代には、ワキ毛のこの性質は非常に役立ったのでしょうが、現代のワキガ体質の人にとっては短所としか言いようがなくなっています。

 また、毛穴から常にアポクリン汗腺や皮脂が分泌されて栄養に事欠かず、汗で常に湿っている、通気性が悪いといった条件が重なるために、ワキ毛の間は細菌の格好の溜まり場となっています。

 入浴やシャワーで洗い流そうとしても毛が邪魔して、完璧に流すわけにはいかず、清潔を保つことが困難です。ワキ毛はワキガ体質の人にとっては、あまり好ましくないものだと言えるでしょう。

ワキ毛を処理するには


 近頃は女性ばかりでなく、一部の男性でもワキ毛を剃るのが身だしなみのひとつになっているようですが、ワキガ体質の男性の方にとっては良いことだといえます。ワキ毛の処理方法としては、カミソリやシェイバーで剃る、脱毛剤、脱毛ワックスやテープを使用する、毛抜きで抜くなどの方法もあります。

 脱毛にせよ剃毛にせよ、ニオイの拡散を防ぎ、皮膚の表面の清潔を保ちやすくするためには有効で、どの処理方法をとっても効果に変化はないので、自宅でも実践できるやり方で十分と言えるでしょう。

ワキ毛処理するにあたって

カミソリやシェイバーの使用


 自宅でワキ毛を処理する場合に最も簡単な方法は、カミソリやシェイバーで毛を剃ることです。この場合にはあらかじめワキ毛をよく塗らしておきましょう。

 石けんをぬるま湯で泡立てて塗ってもいいのですが、シェイビングクリームを使用したほうが、刃のすべりが良くなり剃りやすくなりますし、皮膚がカミソリ負けすることも少ないようです。

 そして、毛の生え方とは逆の方向に刃を動かすようにすれば、根本近くまできれいに剃ることが可能です。

脱毛ワックスの使用


 脱毛ワックスには、石けん状のかたまりを熱して溶かして使用するものと、テープまたは紙にワックスがつけられているものがあります。

 実際に使うときは、片手を上げてワキの下の中間から上に向かって、それから下へ向かってと2段階に分けてワックスを塗るかテープを貼り、逆の方向に向けて一気に引き剥がすのが上手に脱毛するコツです。

 ワックスによる脱毛は、毛抜きで1本1本引き抜くのをまとめて行なっているようなものです。痛みを伴ってしまうのが難点ではありますが、剃る場合より深く、皮膚の中に残っている毛まで取り除くことができ、毛の再生が遅くなるというメリットがあります。

 脱毛クリームは、化学製品によって毛を溶かすやり方ですが、パッチ・テストを忘れずに使用上の注意をよく守ることが大切です。

 全ての方法に共通して言えることは、まずあらかじめワキの下をよく洗って清潔にしてからやったほうがいいということです。これは毛の処理の時には皮膚が多少なりとも荒れるのは避けられませんが、そのときに雑菌が傷口に入るのをなるべく防ぐためです。

 ですから、皮膚に傷や湿疹があるときはやめたほうがいいでしょう。処理した後は、1~2日おいてアフター・シェーブ・ローションなどの消毒ローションをつけましょう。

香水の使用について

香水とワキガが合わさると‥‥


 欧米人は、体臭をカバーするために香水を用いているようですが、日本人にとってはこのような使用方法はあまりふさわしくないように思えます。

 強い香りの香水がワキガのニオイと合体すると、強烈な異臭を発散することがあります。欧米人にとっては慣れたニオイでも、日本人にとっては頭痛がしてくるほどの悪臭としか感じられないようです。

 日本人も若い人たちの間では、強い香りを好む風潮があるようですが、強いワキガの人は、香水を使用するのは避けたほうがいいでしょう。かえってワキガを目立たせてしまいかねません。

 正確に分類すると、香水とは純度96%のアルコールに15~25%の香料を混ぜたものをさしています。これに対して、純度がもう少し低いアルコールに香料濃度が10%のものをオード・トワレ、3~5%のものをオーデコロンなどと称して分けています。

 広い意味で香水というときには、この全てを包括するものですが、アルコール純度が低いほど、香りの持続時間は短く、香料の濃度が低いほど香りも弱くなっていきます。

まずはワキガを治そう


 ワキガ体質の人が香水を楽しみたいのであれば、身体を清潔にしてニオイを抑えてから、オーデコロンなどの弱い香りを漂わせるくらいにとどめておいたほうがいいでしょう。香りの種類も刺激が少なく、日本人社会に受け入れやすい柑橘系統のものがお勧めです。

 香りの持続時間はオーデコロンで約1~2時間で、ワキガのニオイもその間なら弱く抑えておくことができます。

 ただ、香水で体臭をごまかすというのは、本質的には日本人にあまり合わないやり方だと考えられます。ですから、まずはワキガを治してから、さわやかな香りを楽しむというのがいいと思われます。

食生活で改善

日本人と欧米人の食生活


 食生活はワキガの発生に大きく関係しています。統計によると、欧米人のワキガ保有率は80%で、日本人の10%に比べて非常に高い確率でワキガが発生しています。これは、やはり食生活に原因があるのです。

 農耕民族の日本人は、米を主食とした野菜中心の食事を摂って来ました。一方、欧米人は1000年以上前から高タンパク・高カロリー・高脂肪の食事をしてきました。

それが続くうちに、アポクリン汗腺とエクリン汗腺が発達して、結果、10人に8人はワキガとなってしまったのです。80%の人がワキガなら、それが普通なので、誰も気にしなくなるわけです。

低タンパク・低カロリーの食生活を


 欧米人が好んで食べていた、高タンパク・高脂肪食品はどのようにワキガに影響してくるのでしょうか。

 肉類に含まれる動物性脂肪は「飽和脂肪酸」と呼ばれるもので、この脂肪が体に入ると胃で消化され、血液に混じって肝臓に送られます。そこで様々な脂肪酸、中性脂肪、コレステロールなどに分解されて、再度血液に混じって体中をめぐります。

 脂肪酸や中性脂肪、コレステロールは皮下組織に蓄積されてエネルギー源となります。それが、アポクリン汗腺や皮脂腺から分泌物として排出されるとき、ワキガのニオイが発生ということになります。

 すなわち、肉や乳製品などに含まれる動物性の飽和脂肪酸が、ワキガの直接的な元凶だということが言えます。

日本が欧米化していくにつれて、食生活も変わり、現在は欧米の食生活と同じようになってきました。それは、つまりワキガが発生する確率が増えていくということです。

ですから、ワキガを改善したい方は低タンパク・低脂肪の日本食中心の生活をしていくことをお勧めします。

デオドラント製品は

デオドラント製品の効果


 ワキガのニオイを消す一般的な方法としては、デオドラント製品を使うことです。今は、種類や香りがたくさんあるうえに、価格も手頃なものが多いので、コンビニエンスストアやドラッグストアなどで購入して使っている方も多いことでしょう。

 もはや女性の身だしなみのひとつとして、また公共の場のエチケットとしてデオドラント製品の使用は日常的なものとなっています。ただ、デオドラント製品の性能というものをきちんと理解して使用することが大切です。

 デオドラント製品には、汗のニオイや発汗を抑える作用があります。しかし、その効果は一時的なものにすぎません。軽いワキガの人であれば、これをうまく活用することでニオイを抑えることが可能ですが、ワキガの強い人はそうもいきません。

 制汗剤とは、脇の下から出る汗を抑えるものですし、消臭剤はワキガのニオイを別のニオイでごまかすものといえます。ですから、デオドラント製品で、ワキガが治ることはないことを理解しておく必要があります。

デオドラント製品の使用にあたって


 デオドラント製品を使う人の中には、多用することで脇の下の皮膚が荒れてしまうこともあります。そして、ひどい場合には皮膚が角質化するおそれもあるのです。いったん角質化してしまうと、皮膚が元の状態に戻るためには相当の時間を必要とします。

 加えて、これらの製品は汗をかくと流れ落ちてしまいます。そうなると効果は半減し、そればかりかシャツやブラウスにシミが残ることもあります。

 ですからデオドラント製品を使うときは、脇の下を清潔にしておき、シャワーや入浴の後にしたほうが賢明です。外出中につける場合は、一度脇をティッシュなどでふいてからつけたほうが効果はあがります。

 あと、デオドラント製品には香りがついているものが多くありますが、香りによってはワキガのニオイと混じり合って、逆に嫌なニオイを作ってしまうこともあります。そう考えると、無臭タイプのものを選んだほうがいいと言えるでしょう。

入浴とシャワーで清潔に

シャワーの活用


 欧米人はワキガが一般化しているのですが、だからといって全くワキガを気にしないわけではありません。むしろ、自分のニオイが他の人に迷惑をかけていないか気を配っているのです。

 欧米では湯船に浸る習慣がほぼ無いので、シャワーだけですませてしまうことがほとんどです。ササッと終わらせるので、きれいになっていないような印象を受けますが、実際は1日に数回シャワーを浴びているのです。まめで清潔といえるでしょう。

 ワキガのニオイは、アポクリン汗腺と皮脂腺からの分泌物にエクリン汗腺からの汗が皮膚の表面で混じりあい、そこに細菌がついて繁殖し、ワキガのニオイが発生するのですが、細菌がついてニオイが発生するまでには、最低でも2~3時間はかかります。

 そこで、汗をかいたらシャワーを浴びて汗を流せばニオイの発生を抑えることは可能です。しかし、外出先で汗をかいた場合は、すぐにシャワーを浴びることは困難ですので、その代わりとしてウェットティッシュを活用するといいでしょう。

 ただ、これは一時的なものなので、帰宅した後にシャワーかお風呂に入り、脇の下に汚れを溜めないようにすることが大切です。

お風呂で汚れを洗い出す


 お風呂に入るときは、なるべく熱いお湯で汚れなどを浮き立たせて、それを石鹸で洗い流し、固くしぼったタオルで脇の下の汚れをこすり取るようにするといいでしょう。

お湯の温度がぬるめだと、皮膚の毛穴に詰まっている脂分や汚れを全て取り除くことはできません。また、石鹸は薬用か中性のもがいいでしょう。これらは皮膚を弱酸性に保つ効果があります。

弱酸性は細菌に対抗する抵抗力が最も強く、ワキガのある人は皮膚をこの状態に保つことで細菌の繁殖を防ぐことが可能です。

脇の下は清潔に


 ワキガの強い人のほとんどは、概して脇毛が多いものです。ワキガの元凶となるアポクリン汗腺は脇毛の毛穴と通じていて、そこから出る皮脂腺の分泌物と混ざることで、嫌なニオイが作られます。

 じめじめとした気の通りの悪い環境は、細菌が繁殖するには絶好の状態です。ワキガの強い人は脇毛も剃って、清潔に保ち、通気性の良い状態にすることが重要です。

エステでワキガは治るのか

永久脱毛法


 よくエステティックサロンの広告で、「エステでワキガが治る」というコピーを見かけますが、それは本当でしょうか。

 エステでワキガを治すというのは、多分に高周波を使用した永久脱毛法のことをいっているのだと考えられます。この高周波による永久脱毛法というのは、高周波電流を利用して毛根を熱で固めてしまうという方法です。

 アポクリン汗腺や皮脂腺は毛根に通じ、毛穴から分泌物を排出しているので毛根を固めればワキガの原因は出なくなり、脱毛すればワキガが治ると捉えているのでしょう。

 ただ、この方法では毛根を熱で固めるだけで完全に破壊することはできません。汗腺類は数ヶ月で回復し、脇毛もワキガも元に戻ってしまったという場合もよくあります。

電気分解法


 エステで行なわれている治療法には、電気分解法というものもあります。これは電極の針を毛穴に刺して、毛穴から電気を流して毛根やアポクリン汗腺などを破壊してしまう方法です。

 この方法では、脇の下の毛1本1本を処置していくのですが、脇の下には約800本もの毛がはえています。ですから、脇の下両方を処置するとなると、時間はもちろんのこと費用もかなり高額となってしまいます。

 この方法だと、毛根がふさがれても中のアポクリン汗腺が残っていると、アポクリン汗腺は別の出口を作って分泌しますから、ワキガは結局再発してしまうのです。これでは、あまり意味がありません。

 これらの方法以外にも、様々なものがあるようですが、効果が期待できるものが少なく危険を伴うものもあるので、今はほぼ行なわれていないようです。

 結論として、エステティックサロンでのワキガ治療には、完治するものはないと言えるでしょう。やはり、専門の医者に相談したほうが無難だということです。

無味無臭食品

現代はグルメの時代


 現代は、グルメの時代といっていいでしょう。テレビや雑誌でも、料理番組や特集記事が目につきます。美味なる料理を求めて、テレビ局や出版社のスタッフはあちこち駆け回っています。

 日本も豊かな時代になり、料理の味を大切にするようになり、単に満腹になれば幸せだという時代は、もう遠い過去の話となってしまいました。

 高齢者は聞いたことも無い料理名に顔をしかめ、中年の方は見たこともない料理に戸惑いつつもしたり顔で食べる。ただ、本当においしいのかおいしくないのか、本物の味を見分けることができるのはごく一部の人だけです。

無味無臭の食べ物


 そんな中、無味無臭の食べ物もよく売れているようです。コンビニエンス・ストアなどに行くと、無臭ぎょうざや無臭納豆が並び、それが若い世代の人達にも売れているようです。

 なぜ、こういったものを買うのかというと、自分の身体から体臭や口臭がただようことを恐れているからに他なりません。他人に嫌がられていないだろうか、口臭のことで軽蔑されていないだろうか、といった不安感が無臭食品を買わせていると言っていいでしょう。

 果たして、無臭の食品を食べることで、本当に体臭や口臭を消すことになるのでしょうか。無臭ぎょうざや無臭納豆を食べている限りは、食後の独特な臭いはありません。

 そうかといって、無臭食品を食べていると体臭や口臭が消えるのかというと、そうではありません。あくまで一時的に、口臭を抑えるだけなのです。

食事の仕方にも気をつける

食生活の誤り


自分のニオイに敏感になるあまり、無臭食品を買い求める若者達は、ニオイの元は食事にもあると真剣に考えているのです。そして、その考えの基本は決して間違ってないのです。

体臭や口臭をつくる原因の中で、食生活の誤りが、かなりの比重を占めていることは事実です。

暴食は病気のもと


 いつも満腹になるほど食事を摂っていると、胃腸に負担がかかり、気力が停滞していきます。そうなると、急性、慢性の胃腸炎になったり、胃拡張の原因になったり、口臭の元になったりします。

 身体を冷やすものを摂りすぎれば、脾臓の働きを弱め、心身ともに病気に陥りやすくなってしまいます。

きゅうり、トマト、梨、柿など身体を冷やす果菜類や果実を摂り過ぎたり、アルコール類の飲みすぎは危険ということです。これも体臭や口臭の原因になります。

また、刺激の強い香辛料やタバコ、ねぎ、ショウガなどの刺激の強い食品を摂り過ぎると、咳、歯痛、便秘、痔などにかかりやすくなってしまいます。これらの飲食品は、直接的な口臭の原因となるものです。

 動物性脂肪や油の強い食事ばかりしていると、成人病などの原因となってしまいます。高血圧、肥満、糖尿病などは、特殊な体臭を発生させやすい病気です。

 とくに、ワキガ体質の人は、動物性脂肪を摂り過ぎることで、皮脂腺からの脂質の分泌量が増え、アポクリン汗腺や皮脂腺を発達させる原因になるので、十分な注意が必要です。統計的に見ても、ワキガの人は脂肪分の摂り過ぎ傾向があるようです。

アルカリ性食品

酸性とアルカリ性


 体臭や口臭の原因ともなる食生活の誤りを、正しい食生活に直すためには、まず身体を害するものを極力、口にしないようにすることはいうまでもありません。

 そして、付け加えるなら酸とアルカリのバランスをよくしておくことも非常に大切なことです。

 酸性食品を摂り過ぎると、血液(体液)が酸性に傾き、細菌などが繁殖しやすくなってしまいます。抵抗力は落ち、様々な身体の不調や病気の原因にもなります。

 だからといって、アルカリ性食品ばかりを食べればよいかというと、そういうことではありません。一方に偏りすぎた食事は、やはり不調・病気の原因となってしまいます。

バランス良く


では、どうすればいいかというと、バランスよく食べることが大事なのです。バランスよくしておくという本当の意味は、血液(体液)を弱アルカリ性に保つようにするということです。

健康な人の血液は、pH7.36~7.44くらいであり、この状態を弱アルカリ性といいます。少しばかり酸性に傾いたからと言って、急にアルカリ性食品を食べても、そう簡単に血液が弱アルカリ性になるものではありません。

 食べ物は体内に入って燃焼してエネルギーになるとき、必ず酸を発生します。炭素は炭酸に、乳製品は乳酸に‥‥など一度酸に変わって、はじめてエネルギーになるのです。

 しかし、それらの酸が過多になると体内に蓄えられているアルカリ性物質が登場してきて中和し、病気にならないように調整します。そして、自動的に血液を弱アルカリ性にするという仕組みになっているのです。

 正しい食生活をすることで、健康を保つことができれば、体臭・口臭の元になる体の不調や病気を防ぐことが可能になります。

自然食を摂る

自然な食品


 よく、ビタミンCを摂ると臭わなくなる、と信じている人がいます。そんな単純なものではないと思いますが、ビタミン、ミネラルが十分に含まれたものをちゃんと食べることは、結果的に臭いをつくらないことになります。

 ですが、いくら食生活の改善をはかろうとしても、その食物に本来の栄養価値がなく、むしろ有害に作用したとしたらどうなるでしょうか。

 緑黄色野菜が良いといっても、現代では農薬や化学肥料の洗礼を繰り返し受け、季節を無視したハウス栽培野菜が年中出回っています。それ自体は、本来の自然の恵みをいっぱいに受けたものではありません。

 やはり、太陽の光を十分に浴び、四季折々その季節に育つ野菜を食べる事が大事です。

栄養価のあるものを


 昔から、健康的な食事法として「身土不二」「一物全体」という考え方があります。人が生まれ育った、風土に自生したものを食べることの必要性と、全体が食べられるものを選んで食べることの必要性を語ったものです。

 食物それ自体が強い生命力に溢れ、免疫力をもった本当の意味での栄養価のあるものを食べるという食事法は、今でいう自然食です。正しい自然食の食事法は、ニオイを身体から取り去る意味からも理にかなっているといえるでしょう。

 食事法によって、臭わなくなる体臭・口臭は、いわば一般的なニオイであってワキガなど、体質的なものは完全に無くす事は不可能です。ただ、日本人の食生活がワキガを少なくしていることを考えると、それに見習って食生活を変えてみるのもいいと思われます。

体臭を消す入浴法

古今東西の入浴法


 食事と併せて、体臭を消す方法として、昔から入浴についても創意工夫されてきました。より強いニオイで悪臭を隠す香水や香などと異なり、ニオイの元を根本から絶ち切ろうとする努力だったのです。

 では、古今東西の入浴法を紹介していきましょう。

笹風呂

 西日本で現在も残っている入浴法です。畑仕事から帰ってきて笹風呂に入ると、汗の臭いが取れます。これは、笹の中に多く含まれている葉緑素、多糖類などが作用すると考えられています。汗をかきやすい人や水虫、湿疹などができやすい人向きです。

オリーブ風呂

 地中海地方の乾燥地域に伝わる入浴法で、オリーブから出る軟らかな脂成分が、乾燥した肌に潤いを与えます。これは、乾燥肌の人に最適です。

酵素風呂

 酵素が身体の脂肪分やほこりを分解して清潔感を与え、血液の循環をよくするなどの効果もあります。ストレスの多い人向けといえます。

酢風呂

 天然醸造酢や黒酢を入れる入浴法で、クエン酸や酢酸の働きによって体内の燃焼力を高めるようです。冷えを感じやすい人や痛みのある人に向いています。

マコモ風呂

 マコモとは、川や沼などに群生するイネ科の植物です。マコモを加工し、微生物を含んだ粉末を風呂に入れると、お湯を変えなくても大丈夫です。微生物が汗や垢などの腐敗物質を食べて分解してくれるからです。

 また、体臭のもとになる雑菌も微生物が食べてくれるため、体臭を抑えることができます。

 これらの入浴法は、汗腺などにたまった汚れや脂分を浮き出させ、直接的に臭いの元を取り去る点でも有効な入浴法といえます。

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